2011年04月10日

【企業法務】「企業法務」という仕事のやりがい、楽しみ、大変さ、苦労とは?/tetsuさんへの回答

先日の記事に対してtetsuさんより以下のようなコメントが寄せられた(tetsuさん、コメントどうもありがとうございました)。どうもこの方は私も参加している「日本ブログ村」の「戦うサラリーマン」というカテゴリーランキングに参加されている方のようだ。

初めまして。
製薬会社で営業をやっている者です。
もともと大学時代は文学部出身でしたが、学生時代に法律に興味があり、行政書士の勉強もしていました。今は営業(MR)をしながらビジネス実務法務検定の勉強をしています。営業畑でずっと仕事してますが、せっかく製薬会社に勤めているので、薬事法やコンプライアンスに関する業務に携わるという意味で、法務部という部署に興味を持っているところです。
企業の法務に関わる仕事について、やりがい、楽しみ、逆に大変さ、難しさってどんなところであると感じてらっしゃいますか?
差支えなければ教えて頂ければ幸甚に存じます。
宜しくお願いします。


逆に、ブログの良いネタを頂いたので、ブログの記事に取り上げさせて頂きます。ただし、あくまでの私一個人の見解であることをご了承下さい。

1.企業法務の仕事とは
企業法務とは、文字どおり企業がビジネス活動を行うにあたり、発生する様々な法律的な問題を解決していく仕事である。一般的には、その業務としては、@契約書作成・審査、A法律相談、Bコンプライアンス、C訴訟対応、D債権回収、D社内法教育などがあげられる。しかし、会社の業種やそのビジネススキームがBtoB型/BtoC型のいずれかによって、その比率や詳細部分は大きく異なってくると思われる。例えば、私の現職では、@Dが重要視される一方、Tetsuさんの所属する製薬会社では、@ABなどが重要視されるかもしれない。特に、私も薬事法について少しかじったことがあるので、その概要は知っているのだが、医療機器や医薬品を製造・販売するにあたり、Bは絶対にクリアしなくてはならないのだ。

ただし、企業法務を所管する法務部門であっても、人事部・経理部・総務部のように社内に対するビジネスサービス部門であることには相違ない。従って、六法全書や法律の専門書などを取り扱うため若干アカデミックな印象を受けるものの、華やかな営業部門や企画部門などに比べて、「縁の下の力持ち」的な地味なスタッフ部門であることには変わりない。

2.企業法務のやりがい、楽しみ
私にとって一番やりがいを感じるのは、社内クライアントから感謝の言葉を言われたときである。「さすがプロフェッショナル!」「いつも助かります!」「頼りにしていますよ」と言われると、この仕事をやって良かったなあ、とよく実感する。また、私の関わった自社定型契約書やコンプライアンスルールが社内に公表されると、「自分がこの会社のルールを作っているのだ」という達成感を味わうこともしばしばである。

3.企業法務の大変さ、難しさ
一方、大変だなあ、と思う点は、常に自分の知識をアップデートする必要があるという点。例えば、現在、民法の「債権法」の改正作業が進んでおり、法律系専門雑誌等を読んで、これらについてフォローするとともに、自社におけるその対応方針(自社定型契約書の改訂や法務マニュアルの改正など)を検討する必要がある。また、国際取引を行っている企業ならば、英文契約書を取り扱うことは避けられないため、英語などの語学力等についても磨きをかける必要がある。

もちろん、スペシャリストである前に、会社に所属するビジネスパーソンである以上、上記専門知識のみならず、ビジネス書なども読んで自分のビジネススキル(ビジネスシンキング・ビジネスライティング・マネジメント等)を磨いていく必要があることは言うまでもない。このように、企業法務担当者は現役である限り、常に勉強し続けなければならないことが、大変といえば、大変かもしれない。

従って、上記より企業法務担当者に求められる要素としては、以下の項目だと考える。

@一定の法律知識およびそれを随時アップデートするため勉強を継続し続ける自己啓発心
A社内クライアントや顧問弁護士と円滑に意思疎通できる優れたコミュニケーション能力
Bリスク対応文言を明確かつわかりやすく文書化できる優れた文書作成能力
C外国企業との取引契約書をレビュー・ドラフティングできる一定の英語力


4.tetsuさんへ
さて、上記のような回答になるのですが、いかがでしょうか?それはそうと、営業のお仕事をなさりながら、ビジ法のお勉強をなさるのは、とてもすばらしいですね。その意欲はキャリアの前進につながると考えます。もし、貴社に企業法務担当者が存在するならば、気軽に相談するなどして、社内ネットワークを築いておくことをお勧めします。企業法務担当者を味方につけておけばいざというとき頼りになりますので。

また、企業法務、というより法務部門のあり方について興味がおありならば、わかりやすく説明された以下の書籍が発売されていますので、ご一読をお勧めします(立ち読みで十分です)。私もこの書籍に出会って「企業法務」という仕事があることを初めて知り、その結果、人生が変わりましたから。

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posted by Sabosan at 00:44 | Comment(9) | TrackBack(0) | 企業法務 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
私も法務担当者として補足参加致します。精密機械メーカー業界として。

1.仕事
うちの場合はさらに@取締役会、株主総会事務局A内部統制B輸出管理が+されます。そして業務比率としては勿論契約書作成も大きいのですが、上記の3つもかなり大きいです。

2.やりがい
前の上司のときにはsabosan8022様と同様でした。しかし、今の上司に代わってからは、コンプライアンス・内部統制へ軸足が大きく移り、しかも社員への拘束が強く(例えば社員教育の強制参加、何百人の1名でも参加していなければ招集を何カ月もかけ続ける。今回も半年間。営業マンから大ブーイングです。)、正直評判が悪くなりました。以前は契約書作成、法律相談が軸で感謝されることが多かったのに…とつい比較してしまう日々です。

3.大変さ
これはどの部署も同じでしょうけれども常に最新の情報、状態にアップデートしつづけること。社内雛型も3カ月で全て見直しで終わりが見えません。

4.ビジ法について
私も2級まではもってますし、役に立つので勉強されると宜しいかと思います。

以上、補足でした。ご参考まで。
Posted by vofjtftuavvnn at 2011年04月10日 02:56
vofjtftuavvnn様


Sabosanです。
コメントありがとうございました。


1について
私はいわゆる機関法務に関与したことが全くなく、未知の領域です。一応「商事法務」が社内回覧されますが、ほぼ素読状態です。

2について
今のご時世ではコンプラはもちろん重要ですが、どのレベルまで実践すればいいのか、難しい判断を迫られる時もままあります。

3について
自分で作成したひな形は作りっぱなしではなくメンテフォローすることは大事ですね。そのあたりは私も見習いたいと思います。

4について
私も前職時代にビジ法2級まで取得しました。さらに1級にチャレンジしましたが、不合格でした。現在ですが、受験料が高すぎるのと、取得しても会社の評価にプラスになるわけではないので、今や全くやる気はありません(笑)


やはり業界、会社によって業務内容やその配分は相当違いますね。特にメーカー法務は「ものづくり」という業種柄、
法令遵守にまじめにきちんと取り組むという姿勢があるように感じられます。

人事・経理・総務と違って、法務にはその会社や業界の事情が反映されるなあ、と感じます。


Sabosan
Posted by Sabosan at 2011年04月11日 06:52
私も文学部卒業でしたので参考になれば。

在学中に少し法律をかじる機会があり、卒業後に本格的に司法試験勉強を開始し、数年後コンプライアンス部門勤務を経て、今は社内の法令関連事項に幅広く対応しています(契約書から社内規程、取引約款等、労務関連の法務も)。
金融関連で英文等に触れる機会もあります。株式法務等の商事法務も勉強は続けていますが、組織がやや縦割りであまり実務を経験できる環境にはない状況で、実は転職を考えていたりします。。

それはさておき、法務は会社によっておそらくレベルの違いがかなりはっきりする部署ではないかと最近考えております。今の会社も上場企業ではありますが、私の退職間近の上司は数十年前に法学部卒業でいわゆる専門職としてではなく、旧来型の日本型雇用の元で総合職として経験を積んできた方であり、体系定期な知識は皆無で、勤務数年の自分よりも乏しいといった状態です。。ただ、ゆえに他部署や役員からは上司よりも頼られるといった状況からいろいろ相談を受け、学ぶ機会がたくさんあったりしますが(結構稀有な例なのかもしれませんが)。。

人によって考え方は違うと思いますが、自分はどちらかといえば守りよりも攻めの法務として活躍していきたいと思っており、現場の人たちと一緒にビジネスを新たに作っていくことに大変やりがいを感じています(利益を生む法務、というか)。感謝されることはもとより、経営に近い立場から提言だったり解決策を考えたりし、同じ目標に向かって進んでいくことを目指しています。法務というとお固く融通の利かない偏屈部署というイメージが割と先行しており、それを払しょくできるよう努めてます。そのためにはsabosanの言われるように社内営業は欠かせなく、相談すると想定以上の回答が得られる、という相談したくなるような法務(何でも否定されるから相談したくない、となってしまったら法務として失格かと)となれるよう日々の情報収集や柔軟な対応は欠かせません。これが人によっては大変、と思われるかもしれません。ただ、知的好奇心が高く、新しいことを貪欲に学んでいこうという人間にとってはこれほどやりがいのある仕事もないかのではないかとも思われます。これはバックオフィス全般に言えることかもしれませんが、株式法務を行うにはある程度の会計の知識も必要となることから、幅広く自分から学ぶ姿勢は堅持し続ける必要があると思ってます(簿記2級レベルから少しずつアップしていく感じで)。知識だけなら顧問弁護士がいれば足りるわけで、なぜわざわざ法務という存在が社内にあるのか、ということを意識して業務には取り組むことを忘れてはいけないのかな、とも思います。

自分の経験上、行書はあまり評価してくれるところは少ないのですが、合格を目指す過程での勉強として有効だと思います。ビジ法は自分の場合、準1で満足してしまった感じですが、やっておいて損はありません。1度論文形式の試験も受けておくのも悪くないと思います。

長い駄文失礼しました。
Posted by アラサー法務 at 2011年04月11日 11:19
アラサー法務さま

Sabosanです。
コメントありがとうございました。

『人によって考え方は違うと思いますが、自分はどちらかといえば守りよりも攻めの法務として活躍していきたいと思っており、現場の人たちと一緒にビジネスを新たに作っていくことに大変やりがいを感じています(利益を生む法務、というか)。感謝されることはもとより、経営に近い立場から提言だったり解決策を考えたりし、同じ目標に向かって進んでいくことを目指しています。』

いわゆる戦略法務、に該当するのでしょうか。「攻めの法務」という姿勢は私も見習いたいです。法務はいわゆる「間接部門」として認識されていますから、新規ビジネスで自社に利益をもたらすというのは、大変すばらしいと考えます。私も積極的に問題提起&解決策を社内に発信するように努めています。やはり、既存ルールの現状維持に汲々とするのは、ビジネスパーソンとしてマイナスと考えますので。


『法務というとお固く融通の利かない偏屈部署というイメージが割と先行しており、それを払しょくできるよう努めてます。そのためにはsabosanの言われるように社内営業は欠かせなく、相談すると想定以上の回答が得られる、という相談したくなるような法務(何でも否定されるから相談したくない、となってしまったら法務として失格かと)となれるよう日々の情報収集や柔軟な対応は欠かせません。(中略)知識だけなら顧問弁護士 がいれば足りるわけで、なぜわざわざ法務という存在が社内にあるのか、ということを意識して業務には取り組むことを忘れてはいけないのかな、とも思います。』

その通りです、名言ですね(マイ手帳にメモさせて頂きました)。マイナス発言ばかり繰り返して、自らの敷居を高くして社内官僚化する法務部門というものは失格だと思います。私も社内クライアントの信頼を得るため、物腰柔らかく、ただし、確固たる自信をもって日々仕事に取り組んでいます。

貴重なご意見ありがとうございました。私も試行錯誤しながら、「企業法務」という仕事に取り組んで参りたいと考えます。

Sabosan
Posted by Sabosan at 2011年04月12日 07:09
Sabosanさん

初めまして、法務への憧れと申します。
いつもいつもSabosanさんのブログ楽しみにしているとともに、非常に勉強させて頂いております。

突然ですが、先日のtetsuさんとは違いますが、質問させて下さい。

私は、大学、法科大学院と卒業し、昨年より就職へと舵をとった者です。また、社会人経験無しの30手前です。

Sabosanさんが以前ブログで仰っていた、無職という記録はとても痛いです。しかし、それを「選択」した上で、それでもなお就職、さらには法務職への就職を希望しております。
就職口の中でも特に経験が重要視され、さらには不景気に震災。。頭が痛いことだらけではありますが、憧れを自分のものとするために日々奮闘しております。具体的には、実務経験を少しでも埋めるべく、就職活動と並行して、TOEIC・ビジ法等々の資格を勉強し、取得しております。


長々と導入でしたが、本題に入りSabosanさんにお聞きします。

実際に法務職におられる立場からして、私のような経歴を持つ者がこれから法務職に就くことは可能と考えますでしょうか。また、実際に既にいらっしゃるのでしょうか。

就職活動を始めてから半年が経過し、正直不安だらけです。社会人経験をとりあえず積んだ上で、なんとか法務職へ挑むのがよいのか、それとも粘り強く活動するのがよいのか。。

法務職におられる方の率直な考えを是非お聞きしたいと思います。

いきなりの質問で大変申し訳ございません。是非ともよろしくお願い致します。


法務への憧れ



Posted by 法務への憧れ at 2011年04月13日 21:31
法務への憧れ様

コメントありがとうございました。Sabosanです。人様のご相談に乗れるほどたいした自分ではないのですが、私の考えが少しでも貴殿の人生にお役に立てればと思い、正直に回答させて頂きます。

率直に申し上げまして、職歴なしの方が法務職につくのはなかなかに困難なのは事実です。理由は、企業側の意向としては、職種を問わず実務経験者を希望するからであり、キャリアが空白の方を採用することは企業にとってもリスクになるためです。ただし、私の知人の稀有な例をご紹介しますと、彼は元受験生という立場ながらいきなり法務コンプラ職(上場企業)に採用されたケースがありました。彼は大学卒業後6、7年近く司法試験の勉強を行っていましたが、撤退を決め、就職活動に打ち込んだ上、なんとか就職したという強者です。ただ、当時の景気は今ほど悪くなくその会社も人材不足という状況だったらしく、このような珍しいケースが発生したのですが、現在のような不景気においてそのような話はなかなか出てこないのではないかと考えます。

それでも、貴殿が法務というお仕事を希望されるならば、例えば、中堅・中小企業クラスの総務職を狙うという選択肢もあるかもしれません。「総務」というといわゆる「会社の何でも屋」ですが、稟議書の処理、役員会の運営、契約書の審査など「機関法務」を中心に法務的な仕事がないでもないからです。まずはそこで経験を積んで、そのまま突っ走るのもよし、法務職へのキャリアチェンジをはかるのもよし、と考えます。

ただし、私も最後に転職活動を行ってからかなりの時間が経過していますので、現在の求人状況というものがまるでわかりません。従って、全くの見当違いの回答になっているかもしれませんが、そのあたりをご容赦下さい。

なお、以前本ブログの書評でも「ロースクールに行く前に」という本を紹介しましたが、この本の著者はロースクール向けの就職仲介業者ですが、一度ご利用になるのもよろしいかもしれません。

http://kigyouhoumu.seesaa.net/category/6787280-2.html


最後になりますが、貴殿のご健闘をお祈りします。


Sabosan
Posted by Sabosan at 2011年04月14日 06:12
Sabosan様

ご回答ありがとうございます。率直な考え、それも憧れている所におられる方からの考え、とてもありがたく思います。

ダイレクトにとはいかずとも、憧れの場所へは遠くなろうとも、やはりコツコツと進んでいくことが現段階では最善の策かもしれませんね。

Sabosan様のアドバイスを必ずや活かすことができるよう、現実を受け止めながらも夢を捨てず、これからも日々精進していきます。その先には憧れの世界が待っていることを信じて。

この度は誠にありがとうございました。見ず知らずの者にアドバイスをして下さったこと、絶対に忘れません。


法務への憧れ
Posted by 法務への憧れ at 2011年04月14日 20:33
Sabosanさん

はじめまして、みどりと申します。
過去の記事に突然コメントしてすみません。
現在大学の法学部で勉強している者です。
企業法務について調べていたところ、Sabosanさんのブログをみつけ夢中になって拝見させていただきました。

質問なのですが、新卒で法務部に入る道は難しいのでしょうか?企業の各年の配属先などを見ているといないこともない気がするのですが。。
また、業界によって法務部の規模に違いはあるのでしょうか?
新卒で法務部を目指す者にSabosanさんからアドバイスをいただけると本当に助かります。

みどり
Posted by みどり at 2014年01月26日 19:48
みどり様

Sabosanです。
コメントありがとうございます。

お問い合わせの件について、近日中に記事として私の考えを述べさせて頂きます。少々お待ち下さい。

Sabosan
Posted by Sabosan at 2014年01月27日 03:47
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