2016年09月15日

【書評】「ズッコケ熟年三人組」那須正幹(ポプラ社)/ズッコケ三人組シリーズの本当の最終作

以前に児童向け小説の「ズッコケ三人組」とその数十年後を描いた「ズッコケ中年三人組」のシリーズについて触れたことがあった。

企業法務担当者のビジネスキャリア術: 【書評】「ズッコケ中年三人組」那須正幹(ポプラ社)/懐かしい!小学生の頃にズッコケ三人組シリーズはよく読んでいました

前者シリーズではハチベエ達は小学6年生のままで、全く年をとらなかったが、後者シリーズは40歳という年齢からスタートし、age41、age42、age43・・とタイトルにあるとおり巻を重ねるたびに年齢を重ねていった。そして、2005年に中年組シリーズがスタートしてから10年が経過して、2015年に発売された本作では、主人公達はとうとう50歳の大台に突入する。

児童書シリーズの金字塔『ズッコケ三人組』ついに完結! ファンからは“ズッコケ老人三人組”を望む声も | ダ・ヴィンチニュース



これで1978年から続いていた「ズッコケ三人組」シリーズは本当に完結するようで、なにやら寂しい限り。本作では、2014年に広島市を襲った土砂災害をテーマにしており、人の死が描かれるなど若干重たい内容となっている。さらに、ミドリ市の再開発などを絡めつつ、それほど大きなドンデン返しもなく物語自体は終了する。最後は、市議会議員であるハチベエの将来の「転職」を予感させる場面で終わる。

できればもう少しシリーズを継続してもらい、60歳、70歳となったハチベエ達の人生を追いかけたい気もするが、これ以上続けると惰性になってしまうので、この辺りで幕引きにするのが良いのかもしれない。ともあれ、私のように子供時代に「ズッコケ三人組」を愛読した人は、是非中年組シリーズにも目を通してみることをお勧めしたい。

ズッコケ熟年三人組ズッコケ熟年三人組
那須 正幹

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2016年05月24日

【書評】井川意高「熔ける 〜大王製紙前会長井川意高の懺悔録〜」(双葉社)/社会的にも注目を浴びた背任事件の真相とは?

先日、図書館で借りたのがこちらの本。

熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録
井川 意高

双葉社 2013-11-13
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2011年に大王製紙の創業家出身の会長がギャンブルへの転用目的で100億円以上を会社から流出させたという事件が発覚したのは記憶に新しいところ。本書は、その当人が幼少期の生い立ちから、社会人としてのキャリア、そして資金流出を引き起こした経緯を赤裸々に振り返った回顧録である。

最も気になるのは、「公私共に何ら不満のないはずの大企業経営者が、なぜギャンブルで破滅したのか?」だが、文中において、「勝った時の快感が忘れられず、たとえ今は負けていても次の勝ちでとりかえせる」と思い込んだから・・と触れられている。本人には、ギャンブルにのめり込まずとも充分過ぎる収入はあったと思うが、ギャンブルで味わうスリルとはそれほど魅惑的なのだろうか?

かくいう私自身は、パチンコ、競馬、競輪、FXなどのギャンブルには一切手を出したことがない(パチンコ屋で何度かトイレを借りたことはあるが・・)。なぜなら、こういったギャンブルでは「場」を提供する胴元が最終的に必ず勝つ仕組みになっているからだ。そもそも、ユーザが常に勝ち続けるならば、胴元はとうに破産しているはず・・・。結局のところ、長い目で見ると、ギャンブルでトータル的に「勝ち」に持っていくのは、イカサマでもしない限り不可能だろう。

私の知人には、競馬やパチンコをやっている者は幾人かいるが、ボロ儲けして、ウハウハな者(?)は一人もいない。彼らは一時的には胴元に勝つことはできても、最終的には負けている。というわけで、私はこれからもギャンブルに手を出すつもりは一切ない。どうしても、ギャンブルで勝ちたいならば、「ギャンブルをしない」ことにつきると思う。

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2016年03月09日

【書評】「最強の成功哲学書 世界史」神野正史(ダイヤモンド社)/「三国志」の名軍師 賈詡から学ぶ処世術とは

高校時代に世界史を学んだことについては以前にも触れたかと思う。私は、それをきっかけに歴史好きになったクチだ。

企業法務担当者のビジネスキャリア術: 【書評】「もういちど読む山川世界史」(山川出版社)/高校時代にお世話になった教科書と再会する

先日、たまたま本屋で世界史をネタにしたビジネス書を見つけたので、早速買って読んでみた。

最強の成功哲学書 世界史最強の成功哲学書 世界史
神野 正史

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本書のテーマは、「歴史を体感し、その流れや意味を理解し、自分の置かれた状況と照らし合わせた上で、そこから人生訓を汲み取ろう」というもので、著者は「歴史は人生教訓の宝庫」と述べている。なるほど、言われてみればそのとおりかもしれない。特に他人の失敗から学べる点は多々ある。

本書では、ナポレオン、ハンニバル、ビスマルクなどヨーロッパ圏の偉人や、上杉謙信、豊臣秀吉、徳川家康などの戦国武将のエピソードや人生訓が紹介されている。そして、中国史からは後漢末期から三国時代に活躍した蜀の初代皇帝である劉備と魏の軍師である賈詡(かく)が取り上げられている。ちなみに、私が本書で一番気に入ったのが、この賈詡のエピソードだ。ダイヤモンド・オンラインにおいて、この章が全文抜粋されているので、以下のとおり紹介しておこう。

“100点ではなく、200点を取る部下は嫌われる”『三國志』の名軍師に学ぶ処世術|最強の成功哲学書 世界史|ダイヤモンド・オンライン
“能ある鷹の「爪」の出し方”『三國志』の名軍師に学ぶ処世術(2)|最強の成功哲学書 世界史|ダイヤモンド・オンライン

上記で説明されているとおり、賈詡は、後漢末期に一時期曹操と敵対する地方軍閥の張繍(ちょうしゅう)に仕えており、自らの策略によって曹操の息子を討ち取るほどの智謀を有する。しかしその後、曹操に帰順し、魏の参謀として活躍する。曹操が築き上げた「魏」は三国時代で最も大きい国家として繁栄するが、国家が安定期に入った後も、その中でも自らをうまく処して、大臣クラスまで出世する。しかし、賈詡はその後も驕ることなく謙虚に振舞い続け、大往生したという。生え抜き組ではない外様の立場(しかも、過去に主君の息子を謀殺している)からキャリアをスタートして、そこまで上り詰めるには、単に頭脳が優秀だけではなく、他人との関係をうまく調整する処世術にも優れていたという証だろう。

これと対象的なのが、同じく曹操に仕えた参謀である荀ケ(じゅんいく)や揚修(ようしゅう)だ。荀ケは、曹操が地方軍閥として頭角をあらわした頃から曹操に仕えて、その覇業を助けていたが、魏王になろうとする曹操と意見をたがえるようになり、晩年は不遇であったという(一説には自殺したとも言われている)。また、揚修は賈詡や荀ケに匹敵するほどの智謀を誇る人材であったが、曹操の考えを先に深読みするなどの振る舞いが目立ち、曹操の怒りを買って誅殺されてしまう。

賈詡という人物を現代ビジネス風に解説すると、過去に転職歴が多いながらも、最後に入社した会社でコツコツと実績を上げて、社内との人間関係も配慮しつつ、うまく身を処して、重役クラスまで出世したというところか。私もコーエーの三国志ユーザでもあるので、賈詡については一応知っていたが、こういうエピソードを知ると転職歴が多い自分としても、おおいに共感するものがある。特に周囲の「妬み」「恐れ」をいかに抑制するべく振舞うかという行動原理は、現代のEQにも通ずるものがある。

学校では教えてくれない「こころの知能指数:EQ」を育む5つの要素 | ライフハッカー[日本版]


やはり歴史は面白いし、ためになる。他人の成功談や失敗談から学べるものは数多い。最近の私は、SLGの「三国志」や「信長の野望」がリバイバルしているのをきっかけに、歴史関係の書籍をよく読んでいるが、いいものがあれば本ブログでも紹介していきたい。

「三国志」 乱世の人物学「三国志」 乱世の人物学
守屋 洋

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2016年01月27日

【書評】眉村卓「時空の旅人」(角川書店)/30年以上前に発表されたSF小説で、映画化・ゲーム化もされました

1.コーエーSLGの双璧
以前に、私がコーエーテクモのシミュレーションゲーム「三国志」にはまっていることを触れたかと思う。

企業法務担当者のビジネスキャリア術: 【プライベート】横山光輝三国志のLINEスタンプ第2弾が登場/コーエーテクモ「三国志\」にハマる日々

コーエーテクモのシミュレーションゲームの「三国志」といえば、思い浮かぶのは、もう一つの代表作「信長の野望」だ。かくいう私も、学生時代に同シリーズの初期作「戦国群雄伝」「武将風雲録」などをプレイしたことがあるが、このシリーズも30年近くにわたり、現在の13作目「創造」まで発売されている。

「信長の野望」シリーズをすべて評価してみる : ゲーム脳人



というわけで、三国志プレイをきっかけにゲーマーである昔の血(?)が騒いだ私は、「信長の野望」もプレイしたくなり、先日地元のブックオフでシリーズ6作目の「信長の野望 烈風伝」を購入して、プレイしているところ。

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2.ようやく本題へ
織田信長がらみということで、「そういえば、スクールバスが戦国時代にタイプスリップして、本能寺の変が発生しなくなるというSF小説があったなあ」という事を思い出した。題名がすぐ思い出せなかったので、ネットで調べたところ、眉村卓の「時空の旅人」であることが判明。なつかしくなって再読したくなり、この前図書館で借りて読み終わったところ。

20160124時空の旅人
20160124時空の旅人 posted by (C)Sabosan

ストーリーを簡単に説明すると、以下の通りだ。

未来からやってきたアギノ・ジロがスクールバスにタイムマシンを取り付け、山崎信夫を含む複数の乗車客ごと過去にタイプスリップしてしまう。アギノの目指す目的地は戦国時代。途中何度かのタイムスリップで同乗者を増やしつつ、過去にさかのぼるが、アギノ達のタイムスリップが原因で「本能寺の変」が発生しない歴史に改変されてしまう。歴史の修正作業を行うために、時間航行管理局員と協力することになるが・・・。

30年ぶりに再読したが、先が読めない展開で、今読んでも十分面白い作品だと思う。

3.映画版「時空の旅人」
「時空の旅人」はアニメ映画として、1986年に劇場公開もされている。基本設定は、おおむね原作から踏襲しているが、細かい場面(主人公たちが織田信長や森蘭丸に出会うシーンや結末)などが原作から大きく改変されており、一種別物の作品と言っていい。



当時は、角川書面から小説を原作とする様々な映画が公開されていたが、今でいうマルチメディア展開のはしりといえるかもしれない。

4.ゲーム版「時空の旅人」
そして、「時空の旅人」は、ゲーム版によって一部のマニアには有名な存在となっている。同じく1986年にファミコンで発売されたが、この出来栄えが非常に悪く、立派なクソゲーといえるものだった。当時子供であった私はこのゲームを購入して、真面目にプレイしていたものだが、今の私ならば、メーカーに抗議していたかもしれない(笑)。よくぞこんなゲームで4000〜5000円も払ったものだ。

クソゲーで有名な『時空の旅人』は遊び心満載の神ゲーなので一度はやってみるべき





時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈前編〉 (ハルキ文庫)時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈前編〉 (ハルキ文庫)
眉村 卓

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2016年01月13日

【書評】水野良「新装版 ロードス島戦記1 灰色の魔女」(角川書店)/国産ファンタジー小説の金字塔的作品

1.国産ファンタジーの名作
年末年始に図書館で様々な本を借りて読んだが、そのうちの一冊がこちら。

新装版 ロードス島戦記 灰色の魔女 (角川スニーカー文庫)新装版 ロードス島戦記 灰色の魔女 (角川スニーカー文庫)
水野 良 出渕 裕

角川書店 2013-10-31
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タイトルの冒頭に「新装版」とあるように、オリジナルは28年前の1988年に角川書店のスニーカー文庫の一作品として刊行されたものだ。本作は、剣と魔法のファンタジー世界フォーセリアを舞台にしたもので、アレクラスト大陸の南に位置するロードス島で繰り広げられる英雄群像劇を描いている。

本作のルーツとなったのは、「コンプティーク」というパソコン雑誌に連載されていたテーブルトークRPGのリプレイ集で、それをグループSNEの水野良氏が小説化した。「ロードス島戦記」は、同氏の処女作ながら、朴訥かつ丁寧な書き口で当時は子供だった私にも読みやすかった作品である。中でも戦闘シーンはRPGを意識してか剣と魔法の描写が巧みで、28年前に初めて読んだ私は、その世界観に没頭したもの。本書はファンタジー小説が確立していなかった当時の金字塔的な作品であり、それ以降の小説やゲームに多大な影響を与えたとされる(例えば、エルフの耳の形が細長いというビジュアルイメージは本作が起源とされる)。従って、「ロード・オブ・ザ・リング」や「ハリー・ポッター」などでファンタジーに興味を持った今の若い人でも楽しめると思う。

なお、「新装版」とあるように、オリジナル版にいくつか加筆修正されている箇所がある。私がわかったのは、暗黒皇帝ベルドと傭兵王カシューの一騎打ちのシーンだが、これだけでも旧来のファンは一読の価値があるというもの。実は他作品で明らかにされているが、カシューはアレクラスト大陸で剣闘士奴隷をしていた時期があって、それを連想させる描写には、私のような旧来のファンにはニヤリとさせられるだろう。

小説版「ロードス島戦記」は7巻で完結するが、その前史を描いた「ロードス島伝説」、後日談を描いた「新ロードス島戦記」のシリーズが発売されている。また、別の出版社で発売されているクリスタニアサーガは、ロードス島のはるか南に位置する大陸が舞台になっており、ロードス島を追われたベルドの腹心アシュラムが重要な役回りで登場するなど関連性も強い。

ちなみに、私が子供の頃、買い揃えていたのは、「ロードス島戦記」の全巻と「ロードス島伝説」の3巻ぐらいとクリスタニアの1巻ぐらいだが、実家を出る際にそれらを物置に置きっぱなしにしていたら、いつの間にか親に捨てられていた(泣)。

2.「ロードス島」の他メディアへの展開
本作が発売された1988年といえばドラゴンクエストやファイナルファンタジーが大ヒットし、ファンタジー関連の小説やゲームブックが乱立し始めていた。学生時代に私がゲームブックにハマッたことは以前にも触れたとおり。

企業法務担当者のビジネスキャリア術: 【書評】ゲームブック 「ドルアーガの塔」3部作「悪魔に魅せられし者」「魔宮の勇者たち」「魔界の滅亡」/80年代後半に流行した国産ゲームブックの最高傑作

大ヒットを記録した「ロードス島戦記」は、その後ゲームやアニメなどの分野に展開していった。ビデオアニメ化もされたが、原作とストーリーが微妙に異なっており、私は途中で観るのをやめたが・・・。



また、PCエンジンやパソコンなどにも何度かゲーム化されている。今年は、オンラインゲームも発売されるようで、その人気の息の長さには驚かされる。

「ロードス島戦記オンライン」は2016年初頭に新たな動き。運営スタッフにテストの遅れやこれからについて聞いてみた - 4Gamer.net



28年といえば、生まれた子供が成人するには十分過ぎる時間だ。発売されてブームになったが、すぐに飽きられてしまうのではなく、28年後の現在も引き続き新装版としてシリーズが発売されているという事実は、それだけ多くの読者層に支持されている証ではないだろうか。私のように子供の頃に読んだ小説を大人になっても再読するというのは、これはこれで息の長い楽しみ方かもしれない。というわけで、これからも機会をみつけて水野良のロードスやクリスタニア作品を大人の立場で楽しんでみたい。

僕たちの好きなロードス島戦記―全ストーリー&キャラクター徹底解析 (別冊宝島 1561 カルチャー&スポーツ)僕たちの好きなロードス島戦記―全ストーリー&キャラクター徹底解析 (別冊宝島 1561 カルチャー&スポーツ)

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2015年12月09日

【書評】ネヴィル・シュート「渚にて」/古典的SFの名作&映画版もなかなか見ごたえあり

以前にとあるサイトで古典的SF小説が紹介されており、そのうち何冊かを以下の通り読了した。いずれも古いながらも有名な作品なので、ご存知の人も多いかもしれない。

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)
クラーク 池田 真紀子

光文社 2007-11-08
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星を継ぐもの (創元SF文庫)星を継ぐもの (創元SF文庫)
ジェイムズ・P・ホーガン 池 央耿

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竜の卵 (ハヤカワ文庫 SF 468)竜の卵 (ハヤカワ文庫 SF 468)
ロバート L.フォワード 山高 昭

早川書房 1982-06
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渚にて 人類最後の日 (創元SF文庫)渚にて 人類最後の日 (創元SF文庫)
ネヴィル シュート 佐藤 龍雄

東京創元社 2009-04-30
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中でも私にとって印象深く感じたのが、「渚にて(ON THE BEACH)」だ。そのストーリーはいわゆる世界終末もので、核戦争によって地球の北半球が壊滅する。かろうじてオーストラリアなどの南半球の地域には生き残りがいるが、やがて放射能が風によって運ばれてきて、残された人類に滅亡の危機が迫る・・・というもの。

前半はなんとなくのんびりとした感じで淡々と話は進むが、後半になって人類滅亡がいよいよ不可避となると、登場人物は様々な方法で「死」と向き合っていく。自宅の庭の手入れをする者、コレクションしたお酒を次々と飲んでいく者、自動車レースにのめり込む者・・。このあたりの一見淡々とした日常を描いた風景にはヘタなホラー小説より鬼気迫る「怖さ」を感じた。結局のところ、本作はアンハッピーエンドに終わってしまい、少々鬱気分になる一方、なんとなくほんわかした余韻が残るのが不思議なところ。

なお、本作を原作にした映画が1954年に公開されているが、2000年にそのリメイク版も公開されている。原作がかなり印象に残った作品だったので、映画版にも興味がわき、TSUTAYAでリメイク版の映画(邦題は「エンド・オブ・ザ・ワールド」)を借りてみた。



リメイク版では、登場人物の相関関係が一部変更されている等の違いがあるが、原作をうまく描いた作品に仕上がっている。特に良かったのが、原作から改変されたラストシーン。このまま原作どおりになるのかな、と思っていたら最後でちょっとしたどんでん返しがあり、少々驚いた。

というわけで、作品自体は古くても名作と呼ばれるものは名作だな、と感じた。今後も折を見つけて様々な作品を読んでいきたい。

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2015年10月22日

【書評】S・S・ヴァン・ダイン「僧正殺人事件」(東京創元社)/本格推理小説の古典的名作で一読の価値あり

1.古典的推理小説を読了
昨年の9月頃に推理小説を読むことがリバイバルしていることについて触れたことがあった。

企業法務担当者のビジネスキャリア術: 【書評】20代の頃に夢中になった海外推理小説を再読する/エラリー・クイーン、アガサ・クリスティ、ヴァン・ダインなどの古典推理小説の作家たち

今でも時折、図書館でいろいろな作品を借りて読んでいるが、先日読み終わったのが、ヴァン・ダインの以下の作品だ。

僧正殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集) (創元推理文庫)僧正殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集) (創元推理文庫)
S・S・ヴァン・ダイン 日暮 雅通

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(あらすじ)
だあれが殺したコック・ロビン?「それは私」とスズメが言った―。四月のニューヨーク、この有名な童謡の一節を模した不気味な殺人事件が勃発した。マザー・グース見立て殺人を示唆する手紙を送りつけてくる“僧正”の正体とは?史上類を見ない陰惨で冷酷な連続殺人に、心理学的手法で挑むファイロ・ヴァンス。江戸川乱歩が称讃し、後世に多大な影響を与えた至高の一品。(Amazonの商品説明より)

ヴァン・ダインは、1920年代から1930年代にかけてファイロ・ヴァンスを主人公にした長編推理小説を12編発表しており、これらの作品は、エラリー・クイーンやアガサ・クリスティーなどの全世界の推理小説作家に大きな影響を与えたという。私は全てのシリーズを読んだわけではないが、いずれも作品も、奇をてらわず、殺人事件発生→探偵の捜査→犯人の判明、というオーソドックスな流れになっている。

この「僧正殺人事件」は「グリーン家殺人事件」と並ぶヴァンスシリーズの代表作と称されている。そのストーリーは、童謡のマザーグースに見立てた殺人が発生し、「僧正(ビショップ)」を名乗る犯人は、その後も警察の捜査をすり抜けて、次々と連続殺人を起こすというもの。主人公のファイロ・ヴァンスが癖のある人物で、毒舌を吐き、周囲を煙にまきながらも、真犯人をあぶり出す。そして、彼がとった真犯人を「制裁」する方法とは――――。

これ以上はネタバレになるため、細かいことは書かないが、ミステリー好きならば、本作を一読しておいて損はない。

2.まとめ
私が考える面白い推理小説の要件は、

@犯人と疑わしい複数の人物が存在し、結末近くにならなければ真犯人が判明しないこと
A物語の各所に伏線が散りばめられており、ラストで全て回収されること
B殺人の動機が読者にも納得できること
C探偵が個性的かつ魅力的であること

というもの。「僧正殺人事件」は、全てにあてはまり、さすがに古典的名作と言われるだけのことはある。特にCについて、ファイロ・ヴァンスは、男前のキザ男で、事あれば自分の知識をひけらかし、人を小ばかにする発言も多いという、決して友人にしたくないタイプだが、探偵として際立った個性を備えているのは確かだ。こうした人物像が小説の面白さに貢献しているのかもしれない。

長い夏がようやく終わり、秋の夜長を楽しめる季節がやってきたが、こうした時期に本格推理小説を読みふけるのもおすすめ。私も機会あれば、他のヴァンスシリーズを読んでみようと思う。

ファイロ・ヴァンスの犯罪事件簿 (論創海外ミステリ)ファイロ・ヴァンスの犯罪事件簿 (論創海外ミステリ)
S.S. ヴァン ダイン S.S. Van Dine

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